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東京高等裁判所 昭和36年(く)85号 決定

少年 K子(昭二二・一・九生)

主文

本件抗告はこれを棄却する。

理由

本件抗告の趣意は、抗告人名義の抗告申立書と題する書面に記載せられているとおりであるから、ここにこれを引用する。

所論は原決定の処分は著しく不当で且つ原決定には事実誤認の廉があると主張する。按ずるに本件少年保護事件記録並びに少年調査記録に徴すれば、原決定が少年の非行事実として摘示するところは、すべてこれを認めるに十分であつて、所論の如く事実誤認の疑は存在しない。しかして少年は、意思薄弱のためその場その場の気分に従つて行動し、自己顕示性も強い性格を有しており、これに原決定も摘示する如く、少年に対する家庭の保護能力も期待し得ないことを彼此参酌すると、このまま少年を放置するときは、将来罪を犯す虞があるものといわなければならない。然らば少年はこれを教護院に収容して、その性格を矯正する必要のあることは明らかであるから、これと同旨に出でた原決定は相当であつて、これを抗告人主張の如く不当な処分とは考えられないので、本件抗告はその理由がなく、少年法第三十三条第一項に則りこれを棄却すべきものとし、主文の如く決定する。

(裁判長判事 三宅富士郎 判事 東亮明 判事 井波七郎)

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